合併が節税になるって本当?繰越欠損金とは
赤字の会社と合併すれば節税することができる
この制度を理解するためには、まず法人税の仕組みを少し知っておく必要があります。
法人税というのは、会社の所得に対して事業年度ごとに課される税金です。
つまり、ある会社が事業を行って利益を上げた場合、その会社の所得がプラスになっていれば、その額を元にして法人税が課されることになります。
しかし、収支が赤字であった場合には、法人税が発生することはありません。
法人税は、あくまでも黒字となった所得についてのみ課税されるものなのです。
現在の制度では、会社がある程度までの規模であれば、赤字額を翌年度以降に繰り越すことができます。
これは、欠損金の繰越控除と言われるもので、減少した所得の分だけ翌年度以降の法人税の額も抑えられることになります。
赤字の会社と合併すれば節税になるというのは、この欠損金の繰越控除を利用した場合のことです。
つまり、一定の条件に合っていれば、被合併会社の欠損金を合併会社が引き継ぐことが可能になっています。
欠損金の繰越控除制度とは?
欠損金の繰越控除制度では、会社が出した赤字をその後の複数年に渡って繰り越すことができます。
つまり、翌年度には収支が黒字化したとしても、赤字を十分に相殺できるだけの利益が出てから、控除を受けても構わないわけです。
2017年4月1日以降に開始される事業年度であれば、その年の赤字を次の年から10年間に渡って保持しておくことが可能です。
次年度以降にも繰り越されるこの赤字のことを、繰越欠損金と言います。
欠損金の繰越控除制度は、会社の事業規模によって、利用できるかや繰り越せる金額の割合が変わってきます。また、この制度を適用してもらうためには、確定申告を青色申告で行っていなければなりません。
中小企業者であれば、赤字のすべてを繰越欠損金とすることができます。
しかし、大企業の場合は繰り越せる欠損金は最高でも80%までです。この割合は段階的に引き下げられてきています。
そのため、赤字会社を合併してもこの制度を利用できなかったり、節税効果があまりないケースもあります。
どのような合併であれば繰越欠損金を引き継げる?
会社合併をして、繰越欠損金を節税に利用するためには、赤字会社と税務上適格な合併をする必要があります。
この方法では、吸収する会社の資産や負債を帳簿ごと引き継ぐことが可能になります。
つまり、引き継いだ負債の中には繰越欠損金が含まれているため、これを節税に用いることができるわけです。
適格合併にはいくつかの条件があります。
事業を引き継ぐ際の対価として、消滅する会社の株主に株式以外のものを交付しないということもその一つです。
また、引き継いだ事業はその後も継続されなくてはいけません。
そのためには、従業員の8割以上が引き続いて業務に就く、といった要件を満たしている必要があります。
また、持株比率が50%超の持株会社が事業会社を、親会社が100%子会社を吸収することも、適格合併となるケースです。
適格合併の要件に合っているかどうかは、判断が難しい場合があります。
その際には、専門の税理士のアドバイスなどを参考にしましょう。
繰越欠損金を引き継いだ後は、翌年度以降の確定申告において、それを損金算入すれば良いということになります。
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